- 工学系の大学生で実験機器を使用している方
- 信号処理が好きな方
- AD変換やアナログ信号,ディジタル信号などを理解したい方
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今日は,アナログ信号からディジタル信号に変換するAD変換についてやっていきたいと思います.
工学部の学生などは,実験などをすることが多いと思いますが,それらの実験を通して取得した値はディジタル信号になっていると思います(txt形式やcsv形式など).
そのディジタル信号は必ずと言っていいほど,AD変換という操作を介してアナログ信号から,ディジタル信号になります.
例えば,温度や電圧などを計測するときもそうですね!
おいらは脳波を計測していますが,その場合もAD変換を行ってデータを取得しています.
大体は,実験機器の方にAD変換器が組み込まれている場合がほとんどかもしれませんが,その原理を知るのは大事なことです.
AD変換とは!?
AD変換(Analog-to-digital conversion)とは,アナログ信号をディジタル信号に変換する操作のことで,信号処理の一つです.
AD変換は次の二つの離散化によって行われます.
1.標本化:よこ軸の離散化
まずは横軸の離散化を行います.
標本化と言われますが,サンプリングとも呼ばれたりします.
この第1の離散化は,独立変数(例えば時間とか,長さ)の離散化です.
標本化は,「時間とともに連続的に変化している信号を,一定の時間感覚で取り出して,不連続なデータの集合に変えていくこと」です.
このとき大事なパラメータは,サンプリング間隔 τ です.
(図をみてください)
単に,時間の間隔を表しますが,1秒間にいくつのデータを切り出せるかというのは,結構大事なことです.
高速フーリエ変換(FFT)でも重宝します.
2.量子化:たて軸の離散化
次に縦軸の離散化をします.
これは,量子化と呼ばれます.
量子化は,従属変数の離散化ですね.
量子化によって表された信号の離散値は2進数で表現されます.
(2進数とは,2になると一桁あがる数の表現方法です)
2進数の桁の単位をビットと言います.
1ビットでは,0と1のみです.
2ビットでは,0~11を表現でるので,10進数で考えると,0~3です.
ちなみに,3ビットでは0~111なので,これを10進数に直すと,0~7までの数を扱えることになります.
量子化という名前の由来は,「このビットの最小の量の刻み量を量子に見立てて,連続量を量子の数で表す」ということから来ています.
実験機器を買うときに,分解能というスペックの表記があると思いますが,データの取得が例えば16bitとか書いてあるのは,このことなんだね!
AD変換をする理由
多くの理由がありますが,例えば
- コンピュータが解析できる形式にする
- ディジタル信号の方がSN比が大きく,良質な状態でデータの保存ができる.
- 電子機器の有するダイナミックレンジを効率よく利用できる
このあたりでしょうか.
SN比というには,信号対雑音の比ですね.
signal to noise ratioと書きます.
SN比が大きいと,雑音が少なく,クリアな信号が得られます.
また,ダイナミックレンジとは,電子機器特有の有効利用範囲のことです.
処理が可能な最小量と最大量の信号の比なのですが,
最大量の信号とは,ゆがみやひずみを生じない最大量の信号なので注意が必要です.
もちろんこれも大きい方が良いです.
DA変換
DA変換とは,ディジタル信号をアナログ信号にする変換です.
AD変換の反対ですね.
音を聞いたりする際に使われます.
つまり,ディジタル信号を時刻的に連続的な量に変換するのですね.