ミルグラム実験で有名な彼のスモールワールド
この記事はこんな人にオススメです
  • カオスが好きな人
  • ミルグラム実験って?の人
  • 複雑な世界に関心がある人

こんにちは.カオスを研究しているけんゆー(@kenyu0501_)です.

突然ですが,「ミルグラム実験」って知ってますか?

結構有名な実験なので,タイトルで引っかかったかもしれませんが,この記事の本質はそこではなくて,「この世界って複雑だけど,実はかなり狭いんだよ」っていうことを書きたいのです.

そこで今日は,20世紀において最も天才的な社会心理学者の一人,スタンレー・ミルグラムについて取り上げたいと思います.
彼がなんで,天才的な心理学者だったかというと,それは独創的な実験を作り上げることができたからです.

有名なミルグラム実験もそうですが,スモールワールドの実験なんてものもあります.
彼のスモールワールドの実験で,複雑な世界を切り裂きたいのですが,まずはじめに有名なミルグラム実験のおさらいでもしましょう.

ミルグラム実験とは

実験について軽くおさらい

あれですね.
協力者にボタンを押してもらい,電気ショックで一人の男性に苦痛を与えるやつですね!

表向きは,罰によって学習度合いはどうなのか,というものを調べる実験ですが,もちろん真の目的は違います.

真の目的は,「ヒトは他人の権威のもとで,なんの罪のない人に苦痛を与えることを,どのくらいためらいなくできるのか」ということです.

Lさんは,みかけの被験者でもちろん電気ショックは流れていません.

しかし,ミルグラムが出す問いに答えることができなければ,電気ショックを受けるという設定です.

そのボタンを押すのがTさんであり,「真の被験者」なんですね.

電圧と苦しみに関して

罰で与える電気ショックは15ボルトから開始して,徐々に上がって行きます.

75ボルトで,男は「うー」と唸り声をあげて,120ボルトで苦痛を訴えるという仕掛けです.

もちろん,ボタンを押す側はその様子は見えます.

150ボルトまで行くと,男が懇願します.それでもミルグラムは続けろと言います.

285ボルトでの男の反応では「苦しみの金切り声」になる.という設定です.

 

恐ろしい...

結果はどうなったのか!?

さてさて,この実験の真の目的は,「ヒトは他人の権威のもとで,なんの罪のない人に苦痛を与えることを,どのくらいためらいなくできるのか」ということでしたね.

さらに,「人は道徳的なことに直面した時,どのように権威者(ミルグラム)に抗うか?」という社会的な関心が注目される実験でもあります.

椅子に座った男が苦しんでいるのは一目瞭然ですが,合法的な実験かつ実験協力者というある種の義務的なものを感じているこの局面,,,試されてます!!!笑

この実験の協力者は(真の被験者)は40人です.

40人の協力者の中には,「この実験はやめるべきだ」とか,もうボタンを押せないという人はいました.

 

では,

 

何人が最後の450Vのボタンを押したでしょう...

 

 

 

 

 

 

 

その人数は,,,

 

 

26人です..

 

実験結果についてミルグラムはこう解釈します.

ショックを与えられている人の懇願がどんなに熱心でも,またそのショックがどんなに苦痛に見えようとも,さらに犠牲者が解放してくれとどんなに嘆願しようとも・・・被験者の多くは実験を続けるだろう.権威者の命令とあれば,ほとんどどんなことでも躊躇することなく,とことんやってしまう大人たちの過激さこそが,この研究の主たる発見であり,また何にもまして早急な説明が求められる事実なのだ.

(参考:複雑な世界,単純な法則,草思社.Ibid., p.23.)

スモールワールドな実験

ちょっと人間の悲しい側面を垣間見ましたが,これが我々の行動です.

65%はそうなのです.ボタンを押すのです.

しかし,ミルグラムの他のもう一つの実験では,我々の社会の複雑性をかなり小さいものにしました.

この発見は「Six degree of separation」,邦訳で「六次の隔たり」なんて言われたりします.

Six degree of separation (六次の隔たり)

この実験は,この世界にいる人々は誰でも,6人分の隔たりしかないことを証明した実験です.

例えば,おいらと安部首相には6人分の隔たりしかないということ!

わかりやすく書くと

おいらの知り合いの,知り合いの,知り合いの,知り合いの,知り合いの,知り合いは安部首相と言うことです.

世界はそうなのです.

安部首相とトランプ大統領は知り合いなので,おいらとトランプも知り合いですぐに繋がりました笑

では,これをどのように実験したのか?

手紙を送りつける実験

ミルグラムは,カンザス州とネブラカス州の住民からランダムに160人の人を選びました.

その人に手紙を渡し,ボストンにいる他人(ミルグラムの友人の株仲介人)に転送するように依頼しました.

最初に手紙を受け取った人は,ボストンに行くのではなく,それぞれの個人的な知り合い(社会的に株仲介人に近そうな人)に渡します

実験結果は?

最終的には,6人前後の受け渡しで,ボストンにいる彼にほとんどの手紙が届きました!

すごい,,,すごすぎる考えですが,これは事実らしいのです.

つまり,人と人とのネットワークはすごく複雑ですが,実はたったの6人を辿れば地球上の誰とでも繋がれると言うことがわかりました.

この事実はすごい反響を呼び,映画化「私に近い6人の他人」もしました.

HuluやAmazonプライムになかったので,おいらは映画をTSUTAYAで見ましたがウィルスミスが主演で出ていて個人的に面白かったです.
(リンクはAmazonですが,邦訳では内容です.パッケージだけご覧くだされ)

今では,インターネットも普及していたり,割と移動コストが安くなっているので,5人の隔たりとかになっているのかもしれません.

社会的な世界は私たちが考えているよりもずっと狭いということがわかりましたね!

「この世界って複雑だけど,実はかなり狭いんだよ」