- 全ての理系大学生の方
- 信号処理を日常的に使う方
- オススメの参考書を探している方
こんにちは.けんゆー(@kenyu0501_)です.
今日は,「独習!信号処理」という専門書が,分かり易かったのでシェアしておきます.
理系を専攻する初学者ならとりあえず読んでおきたいオススメの参考書に入ると思います.
理系であれば,多かれ少なかれデジタル信号の処理を扱うと思います.
学部の工学実験や,卒業(修了)研究でデジタルデータを扱っている人が多いと思いますが,そんな人には一度目を通しておいて欲しい一冊だと思います.
おいらも脳波(デジタルデータ)の信号処理を毎日のようにやっていますが,本書を読んで新たな発見があったりしました.
信号処理の技術はツールだ!いろんなツールを扱えるようになろうぜ!!
近年は,Deep Learningが流行っているので,そこら辺にすぐ取っ掛かりたい欲も分かりますが,信号処理の理屈をしっかりと理解することは非常に大事だと思います.
(Pythonを使ってライブラリ読み込んで,えい!!っていうのも良いですが,しっかりと信号処理もできた方が面白いですよ!)
デジタル信号を観察する上で,この信号にはどういう成分や特徴が含まれているのかを抽出する技術は持っていて損は絶対ないと思います.
本書のざっくりとした内容紹介
「独習!信号処理」と書いてあるだけあって,独学でも十分勉強でき,ものすごく分かりやすいです.
流石に「マンガでわかるほにゃららシリーズ」までとは言わないですが,従来の工学な専門書と比べると初学者でも楽々と読めると思います.
図がものすごく沢山使用されて絵本みたい(褒めてます!)なので,信号のどの部分を説明しているのかということが物凄く分かりやすい一冊です.
本書の一番嬉しいところは,著者の鈴木先生がLabVIEWで作った信号処理ソフトウェアを無料で公開してます.
つまり,パソコンがあれば,タダで信号処理を行える環境が手に入りますので,信号処理を理解し,実際に使えるようになれると思います.
例えば,FFTを説明しろって言われたときに,簡単に説明できない人であれば,おそらく読んでみた方が良いかもしれません.
本書の目次とちょっとした著者の紹介について
この本は,2017年11月21日に発売された新しい本です.
著者は鈴木真人先生で機械工科を卒業された方です.
かなり本を執筆していて,「独習!信号処理」以外にも
- これで納得!即実践!分散分析と実験計画法 (2018.3)
- 今度こそ納得!難しくない品質工学 (2016.7)
- 試して究める!品質工学 MT システム解析法入門 (2012.5)
などを書かれています.
「独習!信号処理」の目次を紹介しておきます.
参考になればと思います.
- 信号処理技術で必要になる情報
・信号についての基本的な情報
・信号を分類してみる
・信号を処理することは - フーリエ変換による周波数解析
・フーリエが考えついたこと
・周波数解析の基本:DFTとFFT
・FFTを行う前に知っておくべきこと
・FFTを実施するときの窓関数とは
・FFTの結果の味方
・FFT結果から情報を引き出す
・窓関数の影響を確認する
・スペクトルの幽霊(ゴースト)
・周波数解析の具体的な使い方と使い道について
・STFT(Short Time FFT)とその応用 - フィルタ処理
・アナログフィルタとデジタルフィルタ
・デジタルフィルタの種類
・ローパスフィルタの原理
・フィルタの使い方
・そのほかのフィルタについての簡単な説明 - 自己相関関数・相互相関関数とリサージュ図形
・相関の意味と自己相関関数のメカニズム
・相互相関関数とは
・相互相関関数の使い道
・リサージュ図形 - 周波数応答関数
・周波数応答特性とは
・インパルス応答とインパルスハンマによる試験
・インパルスハンマによる試験の応用事例とその注意点
・音響化したちゃーぷ信号を使えないか? - 実際に信号を収録する
・音響信号を採取するときに必要になるものと使用上の注意
・振動計測に関する注意点
・ADコンバータについて - MT法による信号監視の原理と実際
・MT法とは
・MT法の数理の簡単な説明
・等確率楕円について
・MT法によるFFT線図の重心監視
・『MT法を使ったFFT重心監視による異常信号検出技術』の体験
・信号発生系の微弱な変質を確実にとらえるために
・MT法を使ったFFT重心監視技術を活用するために
・MT法を使ったFFT重心監視技術の応用案 - 信号解析装置の使い方と使い道
・信号解析装置の機能
・画面の表示内容と基本操作方法
・異音の原因をさぐる:FFTとフィルタの活用方法
・相互相関関数と周波数応答を調査する
・MT法を使ったFFT重心監視方法:その1
・MT法を使ったFFT重心監視方法:その2 - その他の教材
・信号合成ファイルとファイル変換ツールについて
・信号合成ファイル『波形生成.xls』の使い方
・『csv⇔wav.exe』の使い方
・教材のダウンロード,および,インストール方法
かなり盛りだくさんだぞ!
信号処理の使い道と使い方がわかる
正直,この本,ぶっちゃけていうと数式は全く出てきません.
その代わり,具体的な数字がかなり出てきます.
まじで絵と具体的数字だけ!笑
普通の信号処理の専門書ならば,数式がとにかく沢山出てくると思いますが,本書は全く異なります.
数学的な理解はできないですが,信号処理の概念を言葉で理解したい方や,絵や具体的な数字で理解した人ならばとにかく役に立つと思います.
数式に得意でない人にはオススメだと思いますよー!
なので,言葉で信号処理のツール説明できるようになりたい!と思っている人には非常に良い本だぞ!
ちょっと注意喚起しておくと,信号処理の数式もしっかり把握している人(専門的にバリバリ使っている人)が読むと物足りないと思うかもしれないです.気お付けて下さいね!笑