脳波の解析はツールを使いこなせばかなり簡単です!みんなやろう!!笑
この記事はこんな人にオススメです
  • 脳波解析をしてみたい人
  • EEGLABが気になっている人
  • 「脳波解析入門」という本を疑っている人

こんにちは.けんゆーです(@kenyu0501_).
おいらは普段「脳波解析」をしているのですが,この研究を始めたのは実は博士後期課程になってからです.
つまり脳波解析を始めてからようやく1年半が経ったことになります.
(修士では「ペルチェ素子」に関する研究」を行なっていました.)

この1年半の間に多くの脳波解析に関する参考書を読みましたが,その中でも絶対必読の一冊を紹介したいと思います.
脳波の測定や,脳波自体のこと,解析方法まで全て網羅した一冊です!

超絶オススメです!

脳波解析入門

本書コンテンツの確認

簡単にどのような内容が書いているかまず紹介します.

本の目次(章)
  1. 脳波研究と認知科学の未来
  2. 脳波の測定・収録
  3. 収録データから脳波を抽出する
  4. 認知活動との関連を探る1:事象関連電位
  5. 認知活動との関連を探る2:時間周波数解析
  6. 認知活動との関連を探る3:独立成分分析クラスタリング
  7. 認知活動との関連を探る4:事象関連電位
  8. 新しい解析をどう使うか

第1章,第2章では,脳波とはどのようなもの何か?脳波の測定の際に注意すべきことなどをかなり詳しく説明してます.
第1章,第2章でも十分分かり易く価値があるのですが,おそらくこの本の醍醐味は第3章以降のチュートリアルです.

この本では実際に,脳波解析をどのようにするのか,すごく丁寧なチュートリアルを示しています.
脳波解析を初めてやる初心者も絶対読めます!!
使用する脳波解析ソフトはEEGLAB(第3章〜第6章)と脳機能画像解析用ソフトのSPM(第7章)です.
どちらもフリーのソフトですが,脳波解析関連の論文では多く使用されている実績のあるソフトウエアです.

実際に,この本を読んでEEGLABとMATLABをお使いのパソコンに入れて脳波解析して見てください!
また,本書では脳波データのサンプルを用意してあったので,ソフトウエアを導入したらすぐにできます!!

脳波解析をするためのプリプロセスについて学ぶ

プリプロセスとは何か?

EEGLABを使える環境にしたら,まず初めにプリプロセスを学びます.
プリプロセスとは,取得した生データを学術論文に報告できるようにする過程のことです.

意外と皆さん,ここら辺の基礎的な作業を無視していることが多いのではないでしょうか?

以下に本書から抜粋したパイプラインを貼っときます.

本書ではこのプリプロセスをすごく丁寧に学べます!もう丁寧すぎるほどの分厚さです.
この本で脳波解析を一通り学べなかったら恐らくもう無理です.笑

以下の写真は脳波解析入門の第3章,データのインポートの箇所です.

マーカーがうざくてすいません.参考書とか書き込む派なのでめちゃくちゃ汚れます...

写真のように,プリプロセスのやり方に関しては,実施の写真(右上)を使って丁寧に説明書きがあるので安心です!

本書を参考に,実際に脳波データを解析してみる

実験データについて

自分で取ってきたデータを解析してもよかったですが,本書の実験データが無料で使用できたのでしっかりと学ぶためにも,一度提供データで解析を一通りしてみます.

無料で提供している脳波データ

脳波データは,2刺激オドボール課題の32チャンネルの測定データです.
オドボール課題とは,被験者に与えた刺激に対して,脳波にどのような反応が見られるかを問うものです.
この実験データは「S」と「T」という2つの文字による視覚刺激を与えて中指,人差し指でボタンを押すという操作をしてます.
なお,文字は150回の提示で「S」が120回出ます.

実験データの処理

先ほどの実験データに対して実際にEEGLABを使って処理を行っていきます.

フィルタリングを施して,ノイズの除去を行います.
エポッキングという,あるイベントを中心とした時間窓を作ります!
時間窓を設定することで,瞬きノイズや,その他瞬き由来ではないノイズ(除去すべきもの)の判別が可能になります.

基本的に,脳波解析はノイズとの戦いです.
振幅などの大きさを見て,機械的に消すこともできますし,このような操作をして目視にて消すこともできます.
大変ですが,このような便利なツールを活用してしっかりとプリプロセスをしていきたいですね.

エポッキングを通して,脳波データのノイズ処理ができたら,今度は独立成分分析,ダイポール推定を行いました.
ちなみに「S」提示はここでは「S3」としており,「T」提示は「S2」としてます.

32チャンネルの脳波データの各成分を全て無相関にして,全て独立であるとの仮定をします.
ノイズなどが混入しているとこの操作の正確性が落ちるので,しっかりとノイズ除去をしていてください.

独立成分分析をした結果から,「S」が表示された時,脳ではどこが活発になっているかをある程度推定できます.
今回は,視覚野と言われる後頭部付近の脳波データに陰性の振幅が大きく,このあたりで何かしらの情報が読み取れます.

EEGLABはグラフィック的にもかなり見やすいですね.

局所的な測定箇所の調査もできます.
以下は,条件提示のことなるもの「T:S2」と「S:S3」に対する反応の差を見ることもできます.

そうすると,提示された後に脳波が反応していることがわかります.
0秒で刺激提示があり,300m秒付近で青が下に大きく下がり,500m秒付近で赤が大きく下がっています.

出現確率の低い「T(赤)」は反応速度が遅いのでしょう.脳波を見てもわかります.
ちなみに,「S(青)」の刺激後300m秒の反応はP300と言って,割と脳波研究をしている私たちの分野ではメジャーな反応です.

EEGLABでは,各刺激に対して比較をすることができます.
以上の図は,提示の出現確率の差が脳波の反応にどのような影響を及ぼすのかを比べたものです.

面白いですね.

ダイポール推定(脳波信号がおおよそどこから発生して周りにどんな影響を及ぼしているのか)もできます.

多点脳波の解析をするに当たっては非常に有効なツールです.超簡単にできますので,皆さんもやってみてください!

 

その他解析手法も学べる!

実は,脳波解析入門で学べるのは「独立成分分析」と「ダイポール推定」だけではありません.

その他色々と学べます

  • 時間周波数解析
  • 独立成分分析クラスタリング
  • SPM(Statistic Parametric MApping)

などです.
それぞれの概念や解析する時の狙いなどを詳しく解説しつつ,実際に手を動かして習得できるようになっています.

脳波解析入門は,脳波解析を学べるだけではなく,脳波について基本的な理解を助けてくれるので学術論文や学会資料などにも大いに役に立ちますよ!