- 脳科学研究を志す大学生
- 生体信号の解析をしている人
- 機械工学を専攻している学生
こんにちは.
今日はタイトルにもあるように「メカ屋のための脳科学入門」という本の簡単なレビューをしておきます.
(読書する時にはブログにアウトプットとしてメモしているだけですが,,,笑)
実はこの本,2016年の3月に出版されているので,もうそろそろで3年が経とうとしていますが,エンジニアリングな観点から脳科学を観察する本としては,未だもっとも新しい本なのではないかなと思います(この本の続編がすでに出てますが).
なら続編を紹介してくれい!!!
結論から言うと非常にオススメ度が高いです.
どのような人向けの本?
著者が機械工学を専攻しているという事もあって,おいら的にかなり読み易いものでした.
(著者,高橋和宏氏のプロフィールはこちら)
具体的に言うと「生体のこの部分は,機械で言うところのこの部品」といった生体機能を機械工学的に説明されているのでわかり易いです.
エンジニアからすれば,機械的要素で例えられた説明であれば,どのように動くのかが理解しやすいし,それはモデル化する際にも非常に役に立ちます.
機械工学をバックグラウンドにした学生は,生体の特殊な部分の名称に馴染みがないので,この比喩表現は助かります.
例えば,
内耳の有毛細胞 → 機械的な振動を検出する歪みゲージ
蝸牛 → 音の周波数情報を神経系に伝えるフーリエ変換装置
などのように,普段耳にしない生体のある部分の機能を,機械工学を学んでいる人にとってとても親しみのある比喩を用いて説明してくれるので助かります.
本書の内容は!?
脳科学入門とタイトルに記載がありますが,脳のみを取り上げて書かれている専門書ではないですね.
知覚,視覚,聴覚などの感覚器をはじめとした生体の機能を機械工学的に説明されている本でした.
感覚は脳に通じると言えば通じますが,その感覚器をセンサーとして工学的に説明していくものですね.
説明の際には,具体的な数字が記載されていて,ものすごくイメージが掴みやすいです.
あと,イラストが多くかつ個々はシンプルなので見やすいです.
脳にとらわれず,生体機能全般を学びたい人向けのような感じもしましたね.
筋肉の構造なども書かれています.
(脳科学なので,きちんと運動ニューロンからの伝達系の説明もあります)
知覚機能を調べる実験は特に面白い
本書の第4編 p.113 から書かれている知覚に関する内容は非常に面白いです.
オススメです.
色々な論文をもとに,視覚野などの脳機能を調べる実験(と結果)を紹介しています.
・一次視覚野の神経細胞が,特定の傾きを持った形状(光刺激)に反応すること(方位選択性)や,脳機能マッピングへの導入に貢献したこと.
・特定の女優にだけ反応する神経細胞(ハルベリー細胞)
・特定のリズムで行われる脳内の情報処理
・腕をある特定の方向に動かすと,神経細胞の発火頻度に特徴が見られる(コサインチューニング).
などなどとても参考になります.
脳機能の局在的なマップは,脳波を用いて色々と研究しているおいらにとっては嬉しいです.
脳科学に関する内容も難しすぎなく,理解しやすい内容になっていてオススメなので是非!