最小二乗法によるパラメータ同定奮闘記9〜ハミング窓の適用〜

研究アーカイブです.
さてさて現在何をしているかというと,脳波の短時間フーリエ変換をして時事刻々と変動する波形の解析と,それに加えて脳波モデルのモデルパラメータ同定(フィルタリング実験データを使用)を行なっています.

前回の内容はこちらです.


簡単に内容を復習しておきます.

前回の内容について
  • 3-40 Hz帯域の脳波データに対して,モデルパラメータ同定
  • オーバーラップの概念を入れた窓幅①〜④と特徴量(3,4,7)の検討をした
  • その結果,オーバーラップ無し①の3特徴量(A,B,C)の場合の正解率が高かった

解析の流れはこちら

今日は,これまで,矩形窓で短時間フーリエ変換をしていたものを,ハミング窓に変更して,再度検討していくのですが,その前にちょっとある程度わかった周波数分析についておさらいしておきます.

周波数のピークに関して

色々と試して分かったこと

  • ピーク3つを入れると特徴量の情報が薄まる
    (つまり,7特徴量とりは,3特徴量の方が良い)

簡単な原因をとりあえず考察しておきます.

以上のグラフは,被験者3の100マス計算の1秒間の3つの周波数ピークを示しています.
リラックス時とストレス時の3つの周波数ピークの位置をカウントしてます.

なんかオーバーラップを導入すると,ストレス時に多く出て欲しい高周波側(ベータ)帯域のピークが減るのですよね.
周波数分解能は全ての窓で同じはずなのですが,なぜか低周波域のピークが多い.
おそらく,オーバラップを入れると検討する実験値データの幅が広いので,低域のピークが残っているのでしょう.
なので,サポートベクターマシン(SVM)には,特徴量として,周波数ピークは不適であるということがわかりました.

周波数含有量(シータ,アルファ,ベータ)

こちらもいろんなデータを解析してみて分かったことがあります.

  • オーバーラップが長ければ長いほど,含有量の状態分離が明確になる
    (④の窓の方が優秀)

オーバーラップを導入すると,解析窓中における周波数帯域の割合が安定的になります.
すなわち,集中時は,出て欲しいベータ波が安定的に検出されます.

当然っちゃ当然ですよね.
過去の履歴を多く含んだ方が,情報量としては,多いわけで安定的な結果が得られるわけですよ.
周波数ピークは低周波がわを多くとりますが,含有量としては安定的になります.
ニューロテクノロジ的な観点から言うと一種のトレードオフ的な感じなのですかね.

解せない問題

しかし,この周波数帯域の分離が見て取れる良質な状態のデータを用いてモデルパラメタ同定を試みても,特徴的なモデルパラメータA,B,Cの値は獲得することができませんでした.

集中時ははっきりβ波の含有が出ているので,モデルパラメタも特徴が現れてくると予想していましたが違いましたね...
謎です.
ここら辺は,最小二乗法のアルゴリズムが関連してくるのかと思うのですが,実波形とsimulation波形との直接的な対応は無視なので,ちょっと分からないのです...
(ボタン押せば値が決まっちゃうからです....)

しかし,これでは納得がいかないので,矩形窓→ハミング窓に変更して同様な調査をやり直します.

実はこれ,かなり時間かかるのですよね...
解析条件を変えてもう一度やり直すと,データが多すぎて平気で10時間とかかかるので辛いんです.
フーリエ変換一つとっても,良い解析結果が得られるような条件を探すというのは,なかなか大変です.
(飽きないうちに,良い結果が得られれば良いのですが,,,とほほ)

ペンのすけ

研究とはそんなものだ!設定条件をちょっとずつ変えて調べまくれ!

はい,,,

ハミング窓へ

解析の流れや,実験データはこれまでと同じなので,その辺は割愛します.
結果のみ書いておきます.

くわっ!!
データ多い!笑
(解析条件の調査なので,,,,)詳しく見たい方はおそらくいないと思いますが,もし気になる方がいましたら,データの見方は前回のアーカイブを見てください.

各条件で脳波解析を行なって,サポートベクターマシンで集中状態と安静状態を分けた結果です.
その条件が良いのか?全体的にやりまくって,,,以下のことがわかりました.

  • やはり,特徴量を7つにすると,正解率が落ちる
  • オーバーラップのデータ量が少ない②が優秀.
  • ハミング窓で意外だったは,①の3特徴量の場合で,正解率が1番小さかった(なぞ).
  • 矩形窓で同定した方が,正解率が良い(①の3特徴量)

なんか前回よりもSVMの正解率の傾向が分散して,,,え!!!?って感じです.
パラメータ同定値の分類で,何か他に手がありそうであれば,組み込んで試したいのですが,,,
それかSVM自体の性能をあげるかどうかですね...

果てしない研究はまだまだ続く,,,

ペンのすけ

To be continue….