カオスとか非線形とか力学系などを勉強するときにオススメな本
この記事はこんな人にオススメです
  • カオスとか非線形を学ぶためにオススメな本を探している人
  • そういう研究をしている人
  • ちょっと世界を広げてみたい人

こんにちは.けんゆーです(@kenyu0501_)
今日はおいらが非線形とかカオスの研究をしてきて,とても参考になった本をまとめます.
専門書だけではなく,カオスや非線形を研究する上で十分で読み物として面白く仕上がっている小説チックな自伝モノ(カオスの最前線で活躍する科学者たちの物語)まで入れて紹介したいです.

力学系カオス(幾何学的手法)を学ぶ

ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス

全520ページの少々厚みのある本ですが,これは一番初めに読むべき神書!
蔵本由紀先生も推薦してますが,これはまさに「初学者のための教科書」と言っても良いと思います.

ペンのすけ

最強の一冊ここにあり!


各章をアニメーションをつけてまとめてますのでご覧ください
【まとめ】ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス

ストロガッツ氏は,TEDやYoutubeなどでみた人がいるかもしれないがこの分野の現役先導者です.
本書では,非線形現象を理解するためにはまずは定性的に現象を追う事に重点を置いているので非常に読みやすいです.

線形・非線形に関わらず「分岐」について理解しようとするのであれば,この本の右に出るものはないです.
しかし個人的な感想だと7章のリミットサイクルあたりから,ちょっと難しくなります笑

目安は2週間くらいじっくり読めればそれなりに理解できます.

カオス① 力学系入門

230ページのそこそこ短い専門書です.
3冊に別れていますが章としては続いてます.

ペンのすけ

黄色い本でオシャレだ!!


カオス①は,カオスに関わらず数学的なモデルを扱っている全ての方にオススメできる良書です.
なぜこのようなモデルを使用するのか?などの意義を再検討させてくれると思います.
本書ではモデル構築は技である」と言い切り,カオスな系を扱いますが物理現象と数式との対応を議論します.
昆虫の個体数モデル(この本ではコクヌストモドキをモデル化)や3体問題についてまだ一度も読んだことのない人は是非読みたいところ!
また有名なロジスティック写像の説明も詳しくされてます.

カオス②と③では,より深いカオスアトラクタや非線形振動子などが出てきて専門性が上がりますが,具体例や実例を取り上げて紹介されることが多いので,やっぱり直感的な理解に助かります.
とりあえずこの3冊は,他の専門書を読む時のカオス辞典的な位置付けで持っているので,専門用語で引っかかると開くようにしてます.
あ,あと写像を完璧に理解したい人は,井上純一先生の「カオス・フラクタル講義ノート」を同時に読むと良いです.

非線形力学の展望 I カオスとゆらぎ

ちょっと大きめなB5サイズの専門書で460ページあります.
この専門書は1995年に重版されてますが,それまでの歴史的概要がざっと説明されいてそれだけでも読み応えはあります.
つまり,1880年代以前のニュートンの古典力学から始まり,ポアンカレ,ファンデルポール,E.シュレディンガー,フォンノイマンなどの研究を経て,ローレンツによるカオス的ダイナミクス,ストレンジアトラクタなどのカオス研究の注目,盛り上がりなどなどをざっと追えます.

ペンのすけ

偉人たちを見習うぞ!


またグラフや図が大きく沢山使用されており,数式を直感的に理解させるような工夫がなされていますが,カオスを全く知らない人は図の理解が捗らないと感じます.
そのため,一度,上に示した「ストロガッツ 非線形ダイナミクスとカオス」か「カオス①〜③」を読む方が良いです.

専門的な用語がある程度理解できている人であれば,本書の言葉巧みな文章のせいでハマると抜け出せなくなります.
例えば本書を引用すると,

  • 線形方程式は非線形方程式よりも解くのは簡単である
  • 方程式の解析解は,もしそれが存在すれば,最も有効な情報を与える

などの間違った誤解が理解できると思います.

力学系カオス

500ページと厚みのある一冊です.
印象としては,ちょっと数学的な要素が強いですが,振動工学(機械力学系)を専攻する学生が読むと取っ掛かりとしてすごく理解しやすいと思います.
おそらくおいらのような学部で機械工学科を卒業した学生は読みやすい一冊で,もしかすると電気電子系の学生に対してはちょっと読みにくいかもしれません.

ペンのすけ

あと,ちょっと高いけどね!


しかし,相図に対する知識があれば,この一冊は特定の方程式(ダフィングとかファンデルポールなど)の理解をかなり深めることができるので非常に素晴らしい本です
例えば単純なファンデルポール振動子自体はカオスを持たないけど,外力の与え方などの工夫によってカオスを生み出すための方法など,一つの式に対して詳細な深掘りがあるので面白いです.
(ストロガッツの非線系ダイナミクスとカオスと同時に読み進めても良いかもしれません.)

あ,あとエッシャーによるだまし絵の数学的モデリングの紹介は面白いです.
(図は本書から引用:力学系カオス,松葉育雄,森北出版株式会社,p.205)

非線形力学とカオス

紹介している本の中では最も古い本(1989年)です.
370ページあります.
ダフィング振動子を研究で使っているおいらは凄く面白い本でした.

ペンのすけ

Duffingをしている人は是非読みたいところだ!


具体的な数値を入れた解放や振動子の振る舞いが多くて参考になりましたが,カオスを1から学びたい人は他の本が良いかなと思います.
応用を視野に入れている人向けです.

科学を知る読み物としてオススメな本

新しい自然科学 非線形科学の可能性

蔵本由紀先生が書かれた本で,直近で読んだ本だと最高に面白かったです.
200ページほどの小さな文庫本なので一瞬で読めます.

ペンのすけ

krmt先生のやつだぞ!!!

ツイートインプレッションもおいらの中ではそこそこ伸びました笑
ちなみに,ホタルの明滅などによく見られる現象ー同期現象を説明するモデルを作った方でも有名です.
(参考:蔵本モデル Wikipedia

非線形な世界

こちらにレビューまとめました.
「非線形な世界」大野吉嗣さんの本を読んでみた感想

随時更新していきます〜〜〜