ラボの後輩の指導をどうしていけば良いのか
こんな記事です!

大学のラボに配属されている学生さんのうち,初めて後輩の指導をする人にぜひ読んで欲しい記事です.おいらの肌感で思ったことを書きました.

大学のラボ(研究室)に,後輩が入ってくると,必然的に直属の先輩が後輩の指導を行うと思います.
おいらもD2(もうそろそろでD3)なのですが,これまで直接6人の後輩を見てきました.
別に多くもないので,それを自慢したいとかそういうのではありません.
ただ,このふと感じた内なる思いを書き留めておきたくて,書いてます.
あの時,こうしておけばとか,なんでこうしたんだなど,色んな反省はあります.
しかし結論は,おいらも彼らと接していきながら,成長できたと思いますし,非常に恩を受けていると思います.

ラボという組織

ちょっとラボという組織のおさらいをしておきます.
基本的に,ラボという組織はこのようなメンバ構成になっていると思います.

B4(大学4年生)

学部4年生(バチェラー:B4)になると新しく人が配属されて,1年間卒論に取り掛かります.
この時は,未だ,研究というものがどんなに大変なのかということが分からないと思います.
なぜなら,研究活動の半分以上は文章を書くことだったりするからです.
先輩や指導教官から色々と教わったり,論文を読んだりします.

M1,M2(修士課程)

修士課程(マスター:M1,M2)になると卒論はパスしているので,ある程度研究の仕方が身についている学生たちだと思います.
また,M1やM2になると,学会に参加して他の研究者と交流したり,後輩の指導をしたり,さらに修論の執筆をすると思うので,この2年間で研究者の生き方を身体で覚えるくらいまで経験できると思います.

D1~D3(博士課程)

博士課程(ドクター:D1,D2,D3)になると,研究者の仲間入りです.
研究に必要な費用をどう取ってくるか,生活はどうするのかなどを考え出したりします.
しかし,世間的な立ち位置は学生です.
博士課程の学生がいないところもあったりします.
地方大学などでは稀だったりします.

他にもポスドクだったり,秘書さんだったりがおられるラボもあると思いますが,おいらの感覚だとちょっと稀なので飛ばします.

PI(統べる者),指導教員

ラボを統括している人は俗にPI(Principle Investigator)と呼ばれますが,
教授だったり,准教授だったりします.
複数人,指導教官がいるラボもあります.
(うちは指導教官が3名(教授,准教授,助教授)のちょっと大きなラボです.)

後輩の指導とは?

ラボの持ち合わせ施設や研究内容にもよるかと思いますが基本的に以下です.

  • 文章の添削指導
  • 論文の読み方・書き方
  • 実験の仕方
  • 解析の仕方
  • 研究の方向性アドバイス
  • その他

基本的に,現場にいるのは指導教員ではなく学生なので,B4は直属の先輩やラボのメンバーから教わることになると思います.
先輩になるとわかると思いますが,これ,結構大変なのです.

初めて後輩がついた時は,良い先輩であるために,頑張ろう!などの謎の使命感を持って取り組みました.
自分の作業と後輩の指導があり,量としては,そこそこ大変ですが,後輩に色々と教えていく中で,発見があり共に成長できてて面白いのです.

例えばシミュレーション(数値解法)をするときは,オイラー法やルンゲクッタ法を教えます.
一緒にやっていく中で,サンプリング数はシミュレーションの精度などに影響する大事なパラメータというのも再認識できたり,プログラムがどのように処理されるのかを一行一行考えて,理論的に物事を考えることができたりします.

また,文章の添削などは,添削される側よりも,添削する側の方が実は成長できたりします.
直した方が良いところを指摘するために,疑いの目で文章を読むからでしょうか.
(初めてラボに後輩ができたら,小さいプライドや尊厳の確保のために,頑張っちゃうのでしょうね)

その他には,ティーチングアシスタントや授業のことなどを教えてあげるなどのそう言った細かいことがあると思います.

後輩が育つためには?

基本的に,指導する側も指導してもらう側も,人間なのでコミュニケーションが必要になると思います.
指導している人たちの中には,「お前の後輩は物覚えが良くていいなー,うちなんか...」なんて言っている人もいるのではないでしょうか.

でもそういう時は,もしかしたら指導側の教える仕組みを工夫したら良いかも知れません.
色々と周りを見てきて,後輩が成果を出すくらい育っていくためには,肌感としては以下のことが必要だと感じてます.

  • 指導側(先輩)が常にアウトプットをしている
  • 後輩の話を逆に聞く人
  • 適度に仲が良い

指導者(先輩)が常にアウトプットしている

これは結構大事だと思っていることの一つです.

どういうことかというと,先輩が毎年コンスタントに何か成果物を発表しているかどうかです.
(論文を書いていたり,学会で発表していたり,,,)

後輩の作業の細かいことを気にして,適宜修正しているよりも,教えている側が,実践的かつ精力的に活動している方が,後輩が育っているような気がします.
(毎回ああした方が良いとか,こうした方が良いとか,細かいことに口を出すのは良くないかなと...)

おいらもラボ内の先輩が書いた成果物は(査読なしの論文でも)めちゃくちゃ読みこんで,そこから盗み取ろうとしてましたね.

後輩も,「他人に教えるくらいなら,先ずは自分で実績を作れ」って思っている人もいるかもしれませんよ.
(教える側もこう思われていたら悲しいのです.)

後輩の話を逆に聞く人

これも大事です.
人間というのは,話を聞こうと思った人からしか言葉は耳に入ってこないのです.
不思議なものです.

会話は相互なので,お互いがお互いの話を聞こうと思わないと成り立たないのですね.

なので,教える側も後輩の話を聞こう!という姿勢でないと,後輩側も先輩の話を聞いてはくれません.

後輩の話を聞いてあげないと,問題点がずれている場合があったりします.
つまり,後輩の研究を見て「こうやったら良いじゃん!」とかアドバイスをしても,後輩からしたらそこが分からなかったりする場合があるので,いつまでたっても進まないということがあります.

「なんでできないの?こうやったら良いじゃん!」という指摘は,よく見る光景ですが,実は後輩からしたら,分からないところが分からなかったりする場合があるので,一度話をしっかり聞くというのも大事だと思います.

適度に仲が良い

以上の「後輩の話を逆に聞く人」にも通じるところがありますが,適度に仲が良いのは大事です.
やはり,仲が良いことは,お互いがお互いを信頼していることだと思うので,会話が成り立ちます.
仲が良いことは,安心してコミュニケーションができるので重要です.

ラボに入ると,一日の30%くらいは顔を合わせることになるので,仲を深めることは研究の成果にもつながります.
共通の趣味を探すとか,後輩が嫌いなこと好きなことを共有するとか,そういうことが大事です.

また,怒るのは楽ですが,現代人に対して怒ったところで解決する例というのは非常に稀です.
お互い肩を組んで,ともに課題解決ができるような関係になる事がベストです.

答えをすぐに教えてしまうのは楽だが...

答えをすぐに教えてしまうことは楽だと思うのですが,もしかしたら良くないことかもしれません.
しかし,コミュニケーションが取れていたら,その都度その都度課題に対して,適切な方法を取れると思います.

ときには心を鬼にして,答えを教えてあげるのをぐっとこらえて付き合ってあげるのも良いかもしれません.
文章添削で自分なりの書き方をしたいのは分かります!しかし,なぜこの表現が適切でないかの指導の方が後々大事だったりします.

指導は管理型?引き受け側?

指導スタイルも様々だと思いますが,ざっくり二つに分けると「管理型」「引き受け型」があると思います.

管理型
  • 後輩の実験結果や解析結果を逐一管理する
  • コアタイムに来なければ連絡して状況把握する
  • 読むべき論文をコンスタントに与える
  • もしくは,読むべき論文を提出させる
  • 処理に必要なツールの練習問題を与える
引き受け型
  • 分からない事を聞かれた時に答える
  • 論文の添削などを頼まれたら行う
  • 月数回は様子を聞く

これも後輩によって,やり方はバラバラだと思いますが,おいらの実感では,4月の研究室配属から7月くらいまでは,「管理型」で指導をして,ある程度,実験や解析ができるようになり,基本的なことが分かってきたら,「引き受け型」になっても良いと思います.

後輩が去ったとき

後輩が辞めちゃったときは結構悲しいですよね.
やりたい事が他で見つかって,新しいことにチャレンジしていくのは良いことだと思うので,応援してます.
しかし,研究が辛いとか,やる気でないから辞めたい!っているのは,ちょっと謎の責任感を感じます.

おいらの場合は,下の後輩が今年二人ラボを去りました.
辞めるときに,相談されて新しくやりたい事などを聞けたので,後押ししたのですが,色々と考えさせられます.
彼らが求めている刺激などをきちんと汲み取れてなかったのかもしれません.

感じることとして

最後に色々と個人的に感じる事を書きます.
マスターのうちは,忙しくても,後輩の指導を積極的に行った方が研究者として自分の成長度が上がると思います.
相手を見ることによって,自分を客観的に見ることができると思います.
(学費を払って指導する経験ができると思えば,学費を払っているのも悪くないのです.)

しかし,いつまで経っても指導に力を入れすぎるというのも良くないと思います.
実際,おいらは教育をするプロでもないので,自己満足だったりします.
また,指導を極める道に進みたい訳でもないのです.

ラボは組織的(ヒエラルキー的)に機能しないといけないとも思っているので,先輩が後輩を指導するという形態で成り立つラボは色々と強いと思います.
結局それは,P.Iの運営の仕組みによるものが大きいのかもしれませんが,投げやりもあんまりよろしくないので,自分自分の立ち入りを見直してアップデートできるところはした方が良いですね.